アマチュア













アマチュア(英語: amateur)とは、プロフェッショナル(professional)ではない人物を指す言葉。
ラテン語で「愛する」という意味の動詞が由来である




目次






  • 1 定義


  • 2 スポーツにおけるアマチュア


    • 2.1 状態


    • 2.2 歴史


    • 2.3 日本におけるアマチュア競技


      • 2.3.1 野球


      • 2.3.2 ボクシング


      • 2.3.3 ゴルフ






  • 3 スポーツ以外


    • 3.1 将棋


    • 3.2 無線


      • 3.2.1 アマチュアコード






  • 4 脚注


  • 5 関連項目





定義


略してアマ、また和語では素人(しろうと)ともいう。対になる言葉としてプロ、玄人(くろうと)がある。


一般的には、以下に該当する人物を「アマチュア」という。



  1. プロや専門家に匹敵する知識や技術を持っているが、職業として行うための資格を持っていないか、持っていてもそれを職業としていない人物

  2. 知識や技術を持っており、場合によっては職業として行うための資格を持っているが、その技量がプロには及ばない人物


1に該当する人物のことをセミプロと呼ぶことがある。また、1に該当するが、あえてそれを職業とせずに趣味の範囲に留めることを自負することがあり、これをアマチュアリズムと呼ぶ。アマチュアと似て非なるものとして奉仕やボランティアがあるが、これらは趣味ではなく業務として無償の活動を行っており、本来得られるべき報酬をあえて拒否することを自負するものであるため、プロボノに含められる。


かつてより有志による無償の労力の提供によって文化が発展している分野もあり、大きな役割を果たしていることもある。特に無線(アマチュア無線)や、パーソナルコンピュータ(フリーウェア)やインターネットの分野で顕著である。これらの分野では、プロフェッショナルよりもアマチュアの存在が重視され、場合によってはアマチュアに対して最大限の敬意が払われている。また、これらのアマチュアはファン(愛好家)と重なる部分も多い。



スポーツにおけるアマチュア


スポーツにおけるアマチュアとは、スポーツを職業としておらず、かつ報酬を受け取っていない選手を指す。


アマチュアとはスポーツ選手の状態を経済的側面から量ったものである。近代オリンピックは、1980年代初めまで「アマチュア」の規定を国際オリンピック委員会(IOC)によるオリンピック憲章の「アマチュア条項」をはじめとして、国際競技連盟や国内オリンピック委員会などの団体で解釈に若干の違いはあるものの、その定義はおよそ上に掲げたものに集約されていた。


現状において「アマチュア」という規定は非常に曖昧である。これはオリンピック憲章の「アマチュア条項」を筆頭に、アマチュアに関する規定が削除される傾向にあるためである。従ってアマチュアの規定自体を行っていない団体も存在する。これによって選手の経済的状態がどのようなものであろうと問題化することが無くなったため(言い換えるとアマチュアである事に固執する必要性がなくなったため)「アマチュア」の定義自体が無意味化しつつある。これは、競技会において選手にプロフェッショナル的な技能が強く求められるようになり、アマチュアリズムの限界が問題視されたためである。



状態


前述の通りアマチュアとは選手の経済的な状態を指す。アマチュアと正反対に位置する状態がプロフェッショナル(以下プロとする)である。プロとはスポーツを職業としており、かつ報酬を受け取っている選手を指す。


これはあくまでもスポーツ選手の状態を示すものであり、カテゴライズを指すものではない。従ってこの中間の選手も存在する。即ちスポーツを職業としていないが、それによって報酬を受け取っている選手である。このようなスポーツ選手はアマチュアとは呼べないため、国際サッカー連盟などではノン・プロフェッショナル(ノンプロ)と表現する。


現在ではオリンピックや大規模な国際大会に参加するトッププレーヤーの多くはプロか、若しくはノンプロとして参加している。これは既に述べた通りアマチュアという形態で参加することにほとんど意味を見出せないためである。



歴史


19世紀から次々と近代的なスポーツが誕生してきたが、その参加資格に肉体労働者を排除するものが存在した。これは特権の保持の一つであった。実際問題として労働者階級がアマチュアのままスポーツを楽しむには経済的な問題があって難しかった。一方で裕福な上流はこうした経済的な問題をクリア出来たので、自然とスポーツに参加するアマチュアは裕福な者に限定されるようになった。


19世紀末のアメリカ合衆国やイギリスでは、労働者階級でスポーツをするために問題になっていた経済的な問題を「補償」という形でクリアする仕組みが生み出された。これがプロフェッショナルの誕生である。同時期に始まった近代オリンピックでは参加資格をアマチュアに限定していた。スポーツへの参加をアマチュアに限定すると言うのは上級階級における特権の保持の一つであった。


第二次世界大戦後、ソビエト連邦を初めとする東側諸国はスポーツをプロパガンダの重要な一面として捉えた。彼等がオリンピックで大量にメダルを獲得するために生み出したのがステート・アマと呼ばれる仕組みである。これは身分としてはアマチュアを装っているものの、実態としてはスポーツに専念できる環境を十二分に与えられた者たちであった。ステート・アマをアマチュアのカテゴリとして捉えてよいのかについては議論の余地が残る。


1980年代に、IOCはステート・アマに対する西側からの批判、更にプロ選手を出場させる事によって得られそうな経済的な見返りから1974年にオーストリア首都ウィーンで開催された第75回国際オリンピック委員会総会で、オリンピック憲章からアマチュア条項を削除し[1]、オリンピックのオープン化を図った。この結果オリンピックに参加するスポーツ選手、特にトップレベルの選手がアマチュアであることに意味がなくなり、多くの選手がアマチュアからの脱却を図ったりプロであることの宣言を行ったりした。



日本におけるアマチュア競技


日本のスポーツ牽引してきた要素として学校スポーツと企業スポーツがある。これらはいずれもアマチュアスポーツとして発足したが、オリンピックと同じく現状でアマチュアである事に意味を見出せなくなっている。現状でもこれらがアマチュアスポーツであるという理解の仕方は存在するが、アマチュアの定義や学校スポーツ・企業スポーツの現状を無視したものであり、ややクラシカルな認識、定義の方法である。


学校スポーツは高校や大学の体育会系で行われているスポーツである。特に後者については企業スポーツが整備されるまでは日本のスポーツの牽引役を担ってきた歴史がある。柔道などでは形式上企業スポーツに移行した選手でも実体は出身校などの学校スポーツで普段練習しているケースもある。現状においてはこれらのトッププレイヤーはスポーツで活躍する事を期待して入学を許可されていたり、その見返りとして学費や部費の免除が与えられている。これらは「スポーツ特待生制度」などと呼称されるが、これは経済的な見返りであり、この時点で「アマチュアではない」という状態になる。特に私立学校の選手はステート・アマの一種とみなされることもある。


企業スポーツは会社内の同好会やサークルとして始まったものである。1960年代以降全国規模のリーグ戦が実施されるようになって企業アマ(あるいはコーポレート・アマ)と呼ばれる形態が成立し、それ以前の大学スポーツに代わって国内スポーツのけん引役を担うようになった。企業アマとは社員・職員の福利厚生や健康増進、若しくは企業の対外的な宣伝効果を名目として、所属する企業からお金を出させるシステムである。例えば就業時間内に練習をしても、就業したものと見なして賃金を払わせたり、体育館やグランドの整備に会社からのお金を出させるという仕組みであった。こうした企業アマについてもステート・アマと同じく「アマチュア」と呼んでいいのかについて議論の余地が存在する。企業によるスポーツ活動はあくまでも企業メセナの一環であり、会社の業績如何、若しくは全体的な好不況の如何によって整理、廃止される事がある。リーグ自体が存在できなくなったという場合も想定できる。


西ヨーロッパで重要な位置を占めているアスレチッククラブ、スポーツクラブなどでの社会スポーツの形態は日本ではレクレーションスポーツや習い事としては盛んである。チャンピオンスポーツ・トップレベルの選手育成をこの社会スポーツに主流をおいているのは水泳、アーティスティックスイミング、フィギュアスケート、体操、ゴルフなど一部の競技に限定されてきた。1990年代以降になってJリーグはこうしたスポーツクラブの形態を積極的に推奨した。また、バブル崩壊以降の景気後退の局面で、経済的な判断によって企業によって放り出されたチームが積極的に企業スポーツから社会スポーツに転換する例も見られるようになった。こうした経緯によって、社会スポーツは既存の学校スポーツや企業スポーツに次ぐ第三のスポーツの場として、日本でも重要度が増してきている。Jリーグにおいては年代別チーム(ユース、ジュニアユース、ジュニア)の所有を義務付けられており、また、これ以外にも女子チームやアマチュアチームを所有するクラブが存在する。またサッカーに限らず幅広いスポーツの普及、選手の育成に乗り出すクラブも存在する。Jリーグ主導のクラブは既に収入を得る仕組みを有しているためクラブ財政が許容する範囲で選手にお金をかける事が可能である。また、これ以外のスポーツクラブについてもトップレベルの選手を商業的に利用したり、クラブが独自にスポンサーを得ることによって運営資金を得ている。この範囲の中で選手にお金をかけるのはJリーグクラブと共通である。また、柔道やレスリング、相撲などを除くマイナー格闘技、マイナー武道や武術の世界はトップレベルの選手育成も含め社会スポーツ中心で古くから行われている。この社会スポーツが「真のアマチュア」と捉えられているが、自らや家族の金銭的支出が多く、貧困層の参加が困難であり、スポーツ界における経済力での差別を生む要因との批判もある。


日本では野球やボクシングを除いて全てのスポーツが程度の差はあるが上記のような現状であると理解して構わない。トップレベルの選手は既にアマチュアでないことが多いが、アマチュアでなくてもオリンピックやその他国際大会には出場可能である。また国内大会でも国体やインターハイ、インターカレッジも出場可能な方向へ徐々に改められている。このため、アマチュアでないことに対して特段問題になる事はないため選手の実態についても問題にされる事はない。



野球


日本の野球では、日本プロ野球以外のものを総称してアマチュア野球にカテゴライズしている。この解釈は「プロフェッショナル以外は全てアマチュア」という二元論であり、この「アマチュア」の定義は他のスポーツと比べて極めて特異である。野球以外のスポーツについても学校や企業のスポーツが無条件でアマチュアであるという古典的な理解の仕方がまかり通るのは野球の影響するところが大きい。


この特異さは選手(特にトップレベルの多く)の実態がアマチュアでない高校野球、大学野球、社会人野球においてしばしば問題化する。選手の実態としてはこれらの野球においても他の競技の学生スポーツ、企業スポーツと変わるところはない。日本の野球が極めて特異なのはこうした選手の実態を完全に無視して「アマチュア」野球であると主張しているところに存在し、これは建前としてはアマチュア野球選手はあくまでも「アマチュア」であると主張するものである。このため実態と建前を分けて理解する必要に迫られる。


さらに特異なのは他のスポーツを掌握する組織の傘下に野球が属していないか(高野連は高体連に、日本学生野球協会は日本体育協会に属していない独自の組織)、属していても対外的な大会に参加するための組織と国内大会に参加するための組織がバラバラであることなどから他のスポーツの基準や潮流が野球に関して全く適用されない事である。「アマチュア」の規定に関して既に日本の野球、独自のローカルルールになっているのは既に述べたとおりである。また、他のスポーツでは最近の潮流として「アマチュアでない」状態が追認されているが、日本のアマチュア野球では歴史的な経緯からプロ野球との明確な差異を求められる事がしばしば存在し、そのために急激なアマチュアリズムへの回帰が行われることがある。



ボクシング


日本におけるボクシングの「プロフェッショナル」「アマチュア」も特異的な性格を持っている。カテゴライズとしては[要説明]日本ボクシングコミッション(JBC)及び日本プロボクシング協会(JPBA)が関わるものを「プロボクシング」、日本アマチュアボクシング連盟(JABF)が関わるものを「アマチュアボクシング」としているが、JBC/JPBAでは同団体が関係しない競技をすべて「アマチュア」、一方でJABFでは同団体が関係しない競技をすべて「プロフェッショナル」とみなしている。しかし、国内ではJBC/JPBA、JABFいずれも直轄しない競技団体(ザ・おやじファイト、BOXFIGHT、かつての日本女子ボクシング協会など)も存在しているため第三者から見た場合見方によっては「プロフェッショナル」「アマチュア」双方に含まれると言う矛盾も発生している。


また、JBC/JPBAにおいては「プロボクサー」活動での報酬を受け取っていない選手やボクシングジムを所有して所属する選手を「社員」として雇用する企業も存在しており、実態としては他のスポーツにおける「アマチュア」と「プロフェッショナル」が混合しているとされる。



ゴルフ



ゴルフの場合、プロゴルファーとしての資格だけでなくアマチュア資格も存在し、日本では日本ゴルフ協会が管理している。ゴルフに関して報酬を受け取るなどの、アマチュア資格規則への違反行為があればアマチュア資格を喪失し、「プロでもアマチュアでもない」状態となる[2]



スポーツ以外



将棋


将棋においては、日本将棋連盟などに属する棋士、女流棋士が「プロ」でそれ以外の者が「アマチュア」となっており、いわゆるアマチュア棋戦の参加権は後者に限定されている。ただし、プロを目指して奨励会に入ったもののプロになれなかった元奨励会員がアマチュア棋戦に参加することやアマチュアのトップレベルがプロ棋戦に(棋戦独自の規定により)参加することは普通のことである[3]。かつては将棋連盟所属ではないものの賭け将棋によって生計を立てていた真剣師という職業も存在していた(真剣師はアマチュア棋戦に参加した実例があり、アマチュア名人戦優勝者もいる)。現在では真剣師という職業は消滅しており、女流棋士の一部を除いてプロ棋士は対局とレッスンによって生計を立てておりかつてのように副業やスポンサーからの援助に頼っている棋士は存在しないため、プロとアマの境界線は「対局で報酬を受け取っている者がプロ、それ以外がアマ」という古典的分類に落ち着いている(棋士の待遇改善や賭け将棋への取り締まりもあって、「プロとアマの境界線が明確になる方向に事態が推移する」という、スポーツとは反対の流れになった)。


ただし、境界線が明確となったことは必ずしも「プロとアマチュアの垣根が高くなる」ことを意味するものではない。81Dojoや将棋倶楽部24などといったネット将棋の普及により、アマチュアとプロが対局できる環境となっており、ネット将棋で腕を上げた有望なアマチュアがプロ入りした例[4]や、奨励会員がネット将棋を練習の場とする例[5]もある。さらに、プロの棋戦にあるアマチュア枠から出場したトップアマがプロ棋士と互角以上の戦いを見せる例もあり、特例として瀬川晶司のプロ編入試験が行われ、さらにはプロ編入試験が制度化されるに至っている。



無線



無線通信をアマチュア無線局が開拓・開発していったという、無線の歴史的経緯もあって、国際電気通信連合による国際電気通信連合憲章上の無線通信規則や、日本の電波法制上もアマチュア無線が位置づけられており、周波数帯や、国家資格であるアマチュア無線技士による無線従事者免許証制度も、商用の業務無線とは別個に存在する[6]


電波法に「アマチュア業務」とあるように、アマチュア無線かどうかは属人的なものではなく、行動により区分される。つまり、職業として無線従事者あっても、それとは別にアマチュア無線を行うことができる。


日本では、アマチュア無線家による各種の活躍があり、特に阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模災害時などにおける非常通信などでは、重要な役割を担っている。


そして日本アマチュア無線連盟(JARL)により、非常通信の支援や、趣味の範疇における無線活動の活性化が行われている[7]



アマチュアコード


日本アマチュア無線連盟(JARL)では、「アマチュア」に対して以下の定義を行っている。



  • アマチュアは、良き社会人であること

  • アマチュアは、健全であること

  • アマチュアは、親切であること

  • アマチュアは、進歩的であること

  • アマチュアは、国際的であること


以上の5項目を、アマチュア無線家に提唱している。



脚注





  1. ^ オリンピック物語第五部 アマとプロ〈4〉読売新聞-2004年1月24日付


  2. ^ アマチュア資格規則 よくある質問 (PDF) 日本ゴルフ協会、2014年3月24日閲覧。


  3. ^ 奨励会初段以上での退会者は、1年間日本将棋連盟主催・共催等のアマチュア将棋棋戦に復帰できない制約がある。


  4. ^ 史上初の外国人女流棋士、カロリーナ女流2級。NARUTOで将棋を知り、ネット将棋で腕を磨く【カロリーナ女流2級紹介前編】 日本将棋連盟、2017年3月1日(2017年7月15日閲覧)。


  5. ^ ドキュメント・藤井聡太四段 ―史上最年少棋士はいかにして生まれたか― マイナビ出版、2016年12月21日(2017年7月15日閲覧)。


  6. ^ ただし、日本のように、商用の無線従事者資格でアマチュア業務を行える国もある。


  7. ^ “JARLの公式HP”. 2011年10月30日閲覧。




関連項目



  • アマチュアリズム

  • 将棋のアマチュア棋戦

  • 特待生

  • マニア


  • サブカルチャー

    • おたく文化

    • 同人誌




  • 市民ジャーナリズム

    • ブロガー

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    • まとめサイト


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  • アマチュア天文学




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