露天商
露天商(ろてんしょう)とは露天(屋外や青空の下)で店舗を持たず商売をする者。露店商とも表記し、街商(がいしょう)ともいう。
目次
1 日本の露天商
1.1 形態
1.2 歴史
2 イタリアの露天商
3 フランスの露天商
4 ミャンマーの露天商
5 代表的な露天商
5.1 小売
5.2 ボディーケア
5.3 修理、改造
5.4 その他
6 脚注
7 関連項目
日本の露天商
形態
日本では以下のものが露天商と言われる。
- 的屋 - 的屋とは基本的には祭礼や縁日や時節や年中行事で、寺社の参道や境内または門前町を主に、人出が見込まれる場所を渡り歩き商売をする、日本古来の伝統的な生業を指す。商売の手段としては、地面に引いた敷物のうえに商品を並べる簡易なものから、仮設建築としての見世物小屋を集団組織で営むものまで様々である。詳しくは的屋を参照。
- 屋台 - 屋台とは商売の方法ではなく、簡易の屋根と売り台を持って商売をする形態であり、的屋などもこの形態を用いる者もあるが、一般的には日本各地に見られる屋台街といわれる屋台の飲食店などを指す。
- 物売り(引き売り) - 物売りとは最近ではあまり見られなくなったが、独特の「呼び声」や「鳴り物」を使い町を練り歩きながら商売をする者を指し、大八車や自転車に積んだ商品を引いていたので引き売りとも呼ばれる。
- 行商 - 行商とは一般的には固定客への訪問販売によって商売をする者を指すが、郊外や商圏の規模の小さい所では物売りであっても、固定客が主な客層である場合もあり、特に豆腐や納豆売りや野菜や魚の物売りなどがこの傾向にある。
歴史
古くは市(朝市、定期市)や縁日などで時節の縁起物を売っていた蓮の葉商いや、その目抜き通りで大道芸などを行っていた手品師、太神楽とも言われる曲芸師や曲独楽師などが、現在の的屋の源流ともいわれる。江戸時代に生活困窮者の救済を目的とした棒手売(棒手振)などの物売り、または江戸時代から盛んになった飲食を中心とした屋台(屋根、売り台はもちろん簡易な厨房設備や客の椅子まで備えていた)などが、起源といわれている。
現在でも観光地などでのアイスクリーム売りやパンの移動販売、郊外から都心へ通う行商人(関東圏では千葉の行商人が良く知られる存在である)公園付近で定置で営業するおでんの屋台、祭りや縁日の的屋業などは地方、都心に限らず健在な地域も多い。
新たな露天商としては、商店街や外食産業の無いビジネス街などで、改造した車両を用いて、屋台形式で商売する者もいる。また自治体などで主催する日曜マーケットやフリーマーケットと呼ばれる蚤の市のような場所で、ベンチャービジネスや趣味と実益を兼ねた一般人が露店商を営むものも多い。
イタリアの露天商
アカデミア橋に近い広場などに開かれるアフリカ系やアジア系の商人らによる露天商が有名である[1]。
フランスの露天商
パリのクリニャンクールには約3,000軒の露天商が立ち並び、パリで最大規模の蚤の市となっている[2]。
ミャンマーの露天商
ミャンマーではヤンゴンのチャイナタウンの露天商が有名であり、夕方には歩道の両側が埋め尽くされるほどの露天商が立ち並ぶ[3]。
代表的な露天商
主として飲食物や大道芸以外の露天商を記載する。飲食物の露天商は屋台を参照。大道芸の露天商は大道芸を参照。
小売
- ガソリン売り - 特にタンクの容量が少ないオートバイを主な移動手段とし、バイクタクシーが盛んな東南アジア国で見られる。ペットボトルなどに小分けにして道端でガソリンを売っている。
- 花売り - 歴史的に非常に古い職業でもあり、物語りや文学作品などで題材や人物設定として表現される。現在は発展途上国で児童労働の代表的な職業として知られる。
- タバコ売り - 荷台や本棚のようなものに綺麗に商品を並べ、引き売りしている姿が発展途上国を中心にみられる。またインドやフィリピンなどでは、箱ではなく1本から販売している。
- 菓子売り - チューインガムや飴、味付けしたピーナッツなど様々であるが、発展途上国でよく見る事が出来る。地下鉄車内を売り歩く地域もある。花売り同様に児童労働の代表的な職業として知られる。
- 地図売り - 中国などでは、駅、空港、船着き場、バスターミナルなどでよく見られ、地下鉄車内を売り歩くものもいる。新聞売りを兼ねていることもある。
餃子、ワンタン売り - 中国では、路上で作りながら客を待って生の状態で販売する例もある。
ボディーケア
- 身体測定 - 欧米の遊園地や祭りで見られる有料の体重計が、インドや東南アジアを中心に広まり、個人で路上などにおいて定置や移動方式で商売している。近年では同時に身長も計測でき、軽量で移動に適した機械が普及し、中国大陸などでも移動身体測定の商売人が見られる。
- 血圧測定 - 中南米の休日の公園などでよく見られ、大抵は正式な資格を持った看護士が副収入として行っている。
- 床屋 - 発展途上国の公園や路上で良く見られ、屋外で営業する床屋がある。基本的には散髪だけだが、まれに貯水器などを利用して髭剃りや洗髪まで行う床屋もある。
- 産毛取り - 上記の床屋が兼任する場合もあるが、水が無い、または貴重であるというなどの理由から、産毛を2本の糸を紙縒る(こよる)ことによって、毛を巻き込み引き抜く方法や、アルコールなどを燃やして産毛を焼くといった方法で行う商売がある。
- マッサージ - 中華文明圏の国で見られるが、基本的は客を椅子に座らせて行うので上半身中心に行う事が多い。また東南アジアのビーチリゾートでは海水浴客が裸で寝そべっているので、タオルとオイルを持って全身マッサージを勧めるといった手軽な商売でもある。
- ネイルケア - 上記のマッサージ師が兼任している場合が多く、当然別料金である。
- 耳かき - 中国の四川省や貴州省でよくみられる。
修理、改造
- パンク修理
- 服のリフォーム
- 家の修繕、リフォーム、塗装 - 中国では一般的。同業者が特定の路上に場所に集まって客待ちをすることが多い。
- 鞄、靴の修繕
- 調理器具の鋳掛け、補修
- 合鍵作り
その他
- 靴磨き - 靴磨きとは元々は欧米の革靴を履く習慣のある地域の職業であるが、明治維新の西欧化に伴い、日本でも職業として確立した。第2次世界大戦後の復興時には、生活困窮者の生活の糧として日本各地で日常的に見られたが、近年ではほとんど見られることは無い。
占い師 - 近年では店舗を持つものも多く見られるが、現在でも都心部では台一つで露天で商いする占い師の姿が見られる。- 砥ぎ屋 - 和包丁や裁ちばさみや日本剃刀(和剃刀)または、大工なども研ぐ技術が拙い者(つたないもの)や高価な刃物などは砥ぎ師を利用した。近年では金物屋が兼業で営むぐらいだが、和物(洋物の反対語)の刃物が世間一般で広く使われていた時代には、どの町でも人通りの多い商店街などでよく見られた。
天津甘栗の作り売り - 縁日で見かける例もあるが、駅前などで恒常的に商売するものをさす。歌舞伎座の前の天津甘栗の露天商などが代表的な例である。中国では単に「炒板栗」または「炒野栗」などと称して作り売りしていることが多い。
脚注
^ JTB『るるぶイタリア’17』10頁
^ JTB『るるぶパリ’16』123頁
^ JTB『るるぶミャンマー(2015)』44頁
関連項目
フェスティバル・カーニバル
- 夜店
- 屋台
- 的屋
- 物売り
- 行商